大阪大学大学院大阪大学・金沢大学・浜松医科大学
   連合小児発達学研究科 金沢校

こころの相互認知科学講座

第51号 最新医学論文51

自閉症へのシナプス関与の道のり
A synaptic trek to autism

Current Opinion in Neurobioligy.19:231-234,2009.

神経特異Pten遺伝子ノックアウトマウスでの、mTORC1の薬理学的抑制が解剖学的、細胞学的、行動学的異常を減少させる。
Pharmacological Inhibition of mTORC1 Suppresses Anatomical,Cellular,and Behavioral Abnormalities in Neural-Specific Pten Knock-Out Mice

The Journal of Neuroscience,29:1773-1783,2009.

生後3歳までの間に脳において過剰なシナプス成長がおこると自閉症発症のリスクが高まることが予想されている(1)。実際、一部の自閉症症例では、神経細胞の成長の調節に重要な役割を果たす、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質複合体(mammalian target of rapamycin complex: mTORC)を活性化する細胞内シグナル伝達系の異常がみられることが分かっている。そこでテキサス大学のグループは、mTORCシグナル伝達を薬剤によりブロックすることが自閉症の治療に結びつくのではないかと予想し、以下の薬理学的検討を行った (2)。自閉症のモデルマウスとしてmTORシグナルの上流に存在するPTENというタンパク質をコードする遺伝子を壊したマウスを用い脳の変化を観察した所、形態学的に大頭症がみられると共に、組織所見でもシナプスを構成する神経突起の過成長や細胞のサイズの増大が見られ、行動異常を伴っていた。一方、mTORCの機能を抑制する作用をもつラパマイシンという薬剤をこのモデルマウスに投与した所、神経突起の過成長や細胞サイズの肥大化が抑制され、異常行動も改善した。この所見より著者らは、あるタイプの自閉症に対して、mTORシグナルが将来的治療のターゲットとなる可能性を想定している。

発達障害市民ひろば ::::::::::::::::::::::::::::::