第91号 最新医学論文91

親参加型の就学前早期介入プログラムによる自閉症症状の長期的改善

Sigafoos, J., and Waddington, H.
6 year follow-up supports early autism intervention.
Lancet 388 (10059): 2454-2455
Nov 19, 2016

Pickles, A. et al.
Parent-mediated social communication therapy for young children with autism (PACT): long-term follow-up of a randomised controlled trial.
Lancet 388 (10059): 2501-2509
Nov 19, 2016

 Picklesらは、親が参加する就学前自閉症コミュニケーション治療(Preschool Autism Communication Trial; PACT) を通常の治療に追加することによって自閉症症状が長期的に軽減するのか、また親子間の社会的相互作用 (social interaction) に対する効果が持続するのか、という点をランダム化比較試験(randomised controlled trial; RCT) によって調べた。当初2歳から4歳11か月の152例が登録され、専門家の指導を受けた親によるPACT介入を通常治療に追加するグループに77例、通常治療のみのグループに75例が割り付けられた。5.75年にわたる長期追跡に至ったのは、それぞれ59例、62例であった。
 自閉症診断観察スケジュール(Autism Diagnostic Observation Schedule Comparative Severity Score; ADOS CSS)のグループ間比較の結果、治療終了時、長期追跡時および全期間の効果量(effect size)がそれぞれ0.64(95%信頼区間:0.07~1.20)、0.70(95%信頼区間:-0.05~1.47)、0.55(95%信頼区間:0.14~0.91)となり、PACT介入による症状低減効果が示された。双方的コミュニケーション評価測定(dyadic communication assessment measure child initiations)の比較も、長期追跡時と全期間の効果量がそれぞれ0.29(95%信頼区間:-0.02~0.57)と0.33(95%信頼区間:-0.02~0.57, p=0.004)となり、有意であった。言語関連指標の複合 (language composite) でグループ間の差はなかった(効果量:0.70、95%信頼区間:-0.05~1.47)。
 今回のRCTの結果は、早期介入が自閉症症状を長期的に改善することを初めて示すものである。ちなみに、この研究グループが以前に発表した論文では、PACTの通常療法への追加は親子間の双方的社会コミュニケーションを向上させる点で有益であるが、自閉症症状の低減のためには勧められないと結論されていた[Green, J. et al. Parent-mediated communication-focused treatment in children with autism (PACT): a randomised controlled trial.Lancet 375 (9732): 2152-2160, 2010]。



大阪大学大学院大阪大学・金沢大学・浜松医科大学
   連合小児発達学研究科 金沢校

こころの相互認知科学講座

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