本文へジャンプ

研究内容

こころの相互認知科学講座  Division of Socio-Cognitive-Neuroscience

研究領域①:社会認知生物学  Social Cognitive Bioscience

担当教員名:柴 和弘 教授・辻 知陽 准教授

 現代社会が抱える深刻な問題である、「子どもの学習、社会性、行動の障害」を心が宿る脳の機能障害ととらえて、そのメカニズムを解明するのみならず、「脳を育み機能障害を克服する方策・診断・治療法」を提案するための教育研究を行う。研究の内容は発達障害関連遺伝子の探索を行い、それにより、「子どもの学習、社会性、行動の障害」に関する遺伝子を絞り込み、得られた情報を創薬へ活用していく。また、遺伝子改変技術を使い、自閉症を含む学習、社会性、行動の障害に関連した遺伝子を改変したマウスを作成し、その行動解析を行うことにより、自閉症関連モデルマウス作成法を確立する。さらに、それらの遺伝子改変動物の脳神経関連分子や脳神経機能の異常を分子イメージング技術を用いて、可視化することにより、新たな画像診断法の確立を目指すと共に脳神経機能の異常のメカニズムを解明し、治療法の開発に繋げる。

研究領域②:コミュニケーション支援学  Human Communication Science & Intervention

担当教員名:大井 学 教授・荒木友希子 准教授・吉村優子 助教

 親子間、仲間間、教師―生徒間などのコミュニケーションは、心についての理解、世界についての概念的知識、文法や語彙のシステム、推論や記憶、感情の表出と受容など多様な能力を、総合的に活用することで成り立っている。また、それは言語を含むコミュニケーションのしかたそのもののみならず、社会文化的な慣習、出来事の社会的意味を理解し、確実な相互理解の手法と相互協調を学ぶことに決定的に関与している。発達障害のある子どもたちは、コミュニケーションに関与する多様な要因の一部あるいは多数に障害があり、母子、家族、園や学校、地域などあらゆる場での社会的な学びに困難を示し、それがかれらの社会適応を脅かすのみならず、安定した人格形成をも妨げかねない。本領域は、そうしたコミュニケーションの障害の発現機構の解明と、子どもと大人あるいは子ども同士のコミュニケーション不全への介入技法の開発を目指す。

研究領域③:高次脳機能学  Higher Brain Functions & Autism Research

担当教員名:齋藤大輔 准教授・池田尊司 助教

 人間の示す言動(患者ならば症状)と、別個に計測された脳の働き(機能)あるいは形(形態)との関連性を探索することを目的とする。例えば、青年の自傷行為は心理学的に説明されることはあっても、生物学的に説明されることは少ない。臨床な印象は自傷行為が生物学的な行為に見えることである。あるいは、睡眠覚醒リズムの乱れは気分障害や自閉症の患者に頻繁に認められるが、睡眠の観点から気分障害と自閉症が比較されることは少ない。自傷行為や睡眠覚醒リズムの乱れは、日常の臨床でありふれた症状である。このような症状を、脳の働きや形と結び付けようという意図をできるだけ持ちながら、研究を進めていく。

研究領域④:協調運動障害学

担当教員名:横山 茂 教授・堀家慎一 准教授

 自閉症を含む発達障害を抱える人たちでは、手足の麻痺がないにもかかわらず、全身性の運動、手先等を使う微細運動などの障害が頻繁に見られる。このような発達性協調運動障害が生じる機序は必ずしも明らかではなく、原始反射の正常な消失の遅延、神経興奮伝達の異常など様々な原因が考えられている。そこで、大脳から脊髄に至る中枢神経系の運動生理学、大脳の連合機能、左右脳の違い、大脳半球間連携など、協調運動障害研究に必要な基礎知識を身に付けるとともに、分子、細胞、個体レベルの様々な研究方法を取り入れながら新しい知見が得られるように努める。

研究領域⑤:社会神経科学

担当教員名:菊知 充 教授・熊﨑博一 准教授

 人同士の相互作用と社会的意思決定のプロセスを、ニューロイメージング技術等を用いた神経科学と、哲学・心理学・社会学など人文社会科学の両方の観点から統合的に解明する、革新的な研究に挑戦しうる人材を育成する。そこでは、自閉症を代表とする発達障害を生み出す生物学的要因と社会的要因との関連、自閉症脳と非自閉症脳のインタラクション、脳機能の個人差を媒介とする発達障害と社会とのかかわり、人間の社会的行動における合理性-非合理性問題、社会経済行動と脳の関連、薬物の脳内作用のこれらに対する影響、および脳機能のエンハンスメントと社会の関連などの解明に取り組む。これらの成熟した脳(大人)と成長途上の脳(子ども)とでの違いもあわせて追究する。したがって本領域の研究は、金沢校の社会認知生物学研究領域、コミュニケーション支援学研究領域、高次脳機能学研究領域との密接な連携のもとに行うこととなる。